みなさん、こんにちは。
フットセラピストアカデミーの圓田です。
先日のブログでは、台湾・台南で開催された国際リフレクソロジー会議に参加したことをご紹介しました。
今回から、実際に会議の中でどのようなことが語られていたのか、私自身が感じたことも交えながら少しずつご紹介していきたいと思います。
🌿 胡老師の講演
最初に取り上げたいのは、胡老師の講演です。
胡老師は、約40年前に日本へ台湾の足つぼを伝えた呉若石神父の側近として、長年リフレクソロジーの教育や教材制作に携わってこられた先生です。

私自身も台湾で学ぶ中で、胡老師にはこれまで非常にお世話になり、多くのことを教えていただきました。
そんな胡老師が今回の国際会議で語られたのは、単なる足への施術技術の話ではありませんでした。
約40年前から現在まで、台湾のリフレクソロジーは何を考え、何を見直し、どのように変化してきたのか。
その内容を聞きながら私は、「これは今の日本の足つぼ業界にこそ伝える必要がある」と強く感じました。
⏳ 40年前に日本へ伝わった足つぼと、現在のリフレクソロジーは同じではない
日本では約40年前、呉若石神父によって台湾から足つぼが伝えられ、その後、多くのお弟子さんたちの活動によって全国へ広がっていきました。現在、日本で行われている刺激のある足つぼの多くも、その歴史をたどっていくと、この時代へとつながっていきます。
しかし、ここで私が伝えたいことがあります。
約40年前に日本へ伝わった足つぼと、現在台湾で研究・実践されているリフレクソロジーは、同じものではありません。
40年という時間の中で、さまざまな経験や研究、検証が積み重ねられ、技術だけでなく、身体に対する考え方や施術者としての在り方も変化してきました。
今回の講演では、その変化を象徴する非常に分かりやすいエピソードが紹介されました。
💪 かつては「痛ければ痛いほど効果がある」と考えられていた
かつては、施術者には非常に強い力が必要だと考えられていました。そのため五本指、さらには三本指で腕立て伏せをして、指の力を鍛えていた時代もあったそうです。
そして当時は、
「痛ければ痛いほど効果がある」
という考え方もありました。
これは、日本で今も残っている「足つぼ=ものすごく痛いもの」というイメージとも無関係ではないと思います。
しかし、胡老師の講演では、この考え方から現在は大きく転換していることが語られました。現在は、力任せに強く押すこととは異なる力の使い方が研究・実践されています。
FTAでもその技術を採用しています。
私が重要だと思うのは、かつて自分たちが行っていた方法だからといって、それを正当化して守り続けなかったことです。長年の経験や研究を積み重ねる中で、変えるべきものは変えてきた。「昔からそうしてきたから正しい」のではなく、現在も研究し、学び、改善を続けています。
🔄 「昔のものが一番良い」では進歩できない
講演では、初期には現在使われている施作棒がなく、道具や施作方法の中には施術者自身の身体を傷める可能性があるものもあったことが紹介されました。また、低い椅子で長時間前屈して施術することで、腰や膝へ過剰な負担をかけていた時代もありました。そうした問題も一つずつ見直され、改善されてきました。
反射区についても、初期の資料では59だったものが、研究と検証を重ね、現在では89まで発展しています。
胡老師は、
「昔のものが一番良い」と固定してしまえば、進歩することはできない
という趣旨のお話をされていました。
もちろん、古いものだから間違っているわけではありません。反対に、新しいものだからすべて正しいわけでもありません。大切なのは、受け継いだものをそのまま信じ続けるのではなく、研究し、検証し、必要であれば変えていくことです。
私はこれこそが、本当の意味で技術を受け継ぐということだと思っています。
🫶 変わったのは技術だけではない
今回の講演で私がさらに重要だと感じたのは、40年間で変化してきたのは施術方法だけではないということです。
現在は、足だけを見るのではなく、身体・心・霊性まで含めて一人の人間として捉える「全人的なケア」という考え方へ発展しています。
胡老師は、その核心について、
「人を愛し、人を助け、生命を癒やすこと」
と話されました。
「足のどこを、どう押すのか」だけではありません。目の前にいる人がどのような状態なのか。どのような気持ちでその人に触れるのか。そして、施術する側自身がどのような人間であるのか。そこまで含めて考える必要があるということです。
🌱 技術より先に「人」を育てる
講演の中には、私自身とても考えさせられる話がありました。
過去には、リフレクソロジーを単なる収入として捉え、
「片足いくら、両足いくら」
と考える人もいたそうです。
一方で、別の専門性や職業を持ちながら、収入を得ることを目的とせず、人を助けるために学び、公益活動にも積極的に参加する人たちがいます。
胡老師が最後に語られたのは、
「一人ひとりが自分自身を磨いていく道である」
ということでした。
自分自身が心身ともに整っておらず、金銭のことばかりを考えている状態で、本当に他者のために何ができるのか。技術を身につけるだけではなく、技術を扱う「人」そのものを育てていく。私は、この考え方こそ今の日本に必要なのではないかと思っています。
⚠️ 良い結果を、自分の施術の「手柄」にしない
胡老師は、施術を受けた方の病気が良くなったとしても、それを安易に「自分の施術のおかげだ」と考えてはいけない、という趣旨のお話もされていました。
私はこの言葉も、とても重要だと感じました。
施術をしていると、「身体が楽になった」「体調が良くなった」と言っていただくことがあります。それは施術者として嬉しいことです。しかし、その方に起きた変化をすべて自分の施術によるものだと考え、「私の施術で病気が治った」と公にすることは全く別の話です。
日本では現在も、足つぼによって病気が改善した、あるいは妊娠につながったかのような表現を目にすることがあります。人の身体に起こる変化にはさまざまな要因があります。それを自分の施術によるものだと断定し、自分の技術を大きく見せるために利用する。私は、それは「人を助ける」という今回の講演で語られた理念とは、違う方向へ進んでしまうのではないかと思っています。
📱 SNS時代だからこそ「教える側」の在り方を考えたい
ここからは、今回の講演を聞いて私自身が感じたことです。
今はSNSを使えば、誰でも簡単に情報を発信できる時代になりました。どこかで得た知識や情報をまとめて発信する。それが拡散され、フォロワーが増える。影響力を持つようになると、今度は講座を作り、人に教える側になる。このような流れは、現代では決して珍しいものではありません。
もちろん、SNSで情報を発信することも、講座を開催することも、それ自体が悪いわけではありません。私自身もこうして情報を発信しています。
しかし、人に何かを教えるのであれば、その前に考えなければならないことがあると思っています。
誰から学んだのか。その知識はどこから来たのか。どれだけ現場で経験してきたのか。そして、自分自身は今も学び続けているのか。
フォロワーの数と、技術や知識の深さは比例しません。そして教える側になれば、自分が伝えた知識や技術が、その人を通してさらに多くのお客様へ伝わっていきます。だから私は、教える側には大きな責任があると考えています。
🙏 呉若石神父が40年前から求めていたこと
今回の講演の最後には、非常に印象的なエピソードも紹介されました。
30〜40年前、呉若石神父がreflexologyを紹介し始めた当初、中国語がまだ十分ではなかったため、周囲から教えられた「按摩」という言葉を数年間使っていたそうです。しかし中国語が上達すると、
「これは按摩ではない。反射学だ」
と話すようになりました。
そして当時、呉若石神父は、
「彼らは学びに来る。しかし私は彼らに変わってほしい」
とも語っていたそうです。
私は、この言葉がとても重要だと思っています。単に足を押す技術を覚えて帰ってほしかったのではありません。技術を学ぶことを通して、人に対する考え方や、自分自身の在り方まで変わってほしい。すでに30〜40年前から、その先にあるものを見ていたのだと思います。
🇯🇵 日本は、40年前に伝わったところで止まってはいけない
私は、40年前に日本へ伝えられた足つぼを否定したいわけではありません。その時代の活動があったからこそ、日本全国へ足つぼが広がり、現在があります。私自身も、その歴史の延長線上で学んできた一人です。だからこそ、その歴史には敬意を持っています。
しかし、40年前に日本へ伝わったものを守り続けるだけでは、それは「伝承」ではないとも思っています。
台湾では、その後も研究や検証が続けられてきました。「痛ければ痛いほど効果がある」という考え方も見直されました。施術者自身を傷める方法も改善されました。反射区も研究され続けています。そして現在では、技術だけではなく、身体・心・霊性、さらには施術者自身の在り方まで考えるようになっています。
一方で日本の足つぼ業界では、「足つぼは痛いほど効く」「薬は悪だ」「足だけ揉んでいればいい」という約40年前の考え方が、2026年の今も当たり前のように語られることがあります。私は、そのことに強い問題意識を持っています。
約40年前に台湾から日本へ足つぼが伝わった。しかし、台湾の歩みはそこで止まったわけではありません。その後にも40年という時間があります。その40年間の変化が、日本にはまだ十分に伝わっていないのではないでしょうか。
🎓 その先の40年間を、日本へ伝える
私が台湾へ何度も足を運ぶ理由は、単に新しい技術を覚えるためではありません。現地で直接話を聞き、学び、「40年前に日本へ伝わった後、台湾では何が起こったのか」を知るためです。
私自身、胡老師をはじめ、台湾で長年この分野に携わってきた方々から直接学ぶ機会をいただき、多くの方にお世話になってきました。だからこそ、そこで学んだものを自分だけのものにするのではなく、日本へ持ち帰り、次の世代へ伝えていく責任があると思っています。
約40年前に日本へ伝わったものだけではなく、その先の40年間を日本へ伝える。そして、技術だけを変えるのではなく、理念から日本の足つぼを変えていく。それが、これからフットセラピストアカデミーが担っていく使命の一つです。
講師である私自身も、まだ学んでいる途中です。だからこそ、これからも現地へ足を運び、自分の目で見て、直接話を聞き、学び続けます。
技術は受け継ぐものです。そして受け継ぐということは、40年前の形をそのまま残すことではなく、その後の歩みまで次の世代へつないでいくことだと私は考えています。

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